牙-KIBA- 第46話「決断の地へ」

「俺は救世主になるつもりなんかねえ。――ただ、キースピリットの力に目がくらんで戦いを止めようとしないお前らが! 許せねえんだよっっ!」


「俺はただ、この無意味な争いを止めたいだけだ。それに感じるんだ、アミル・ガウルも同じ気持ちなんだろうって。今までずっと続いてきたキースピリットの奪い合いを終わらせたいんじゃないかって。――だから、俺はこいつに選ばれたんだ、きっと」
ジームに奪われたキースピリットを回収するためタスクに向かおうとするゼッドに、モナディとノアの捜索を託すサギリ。
ゼッドがアミルに選ばれた理由らしきものが初めて出てきました。今の時点ではそうなんじゃないだろうかというゼッドの推測ですが。暴れん坊でなかなか言うことを聞かないアミルが、単に精神的に強いという理由ではなく、争いを止めてくれる人物という思想的な部分で選んでいるかもしれないとは……。思い起こしてみると、第36話(よみがえる翼)ではしばらく呼び掛けに反応しなかったアミルが「戦いなんて俺が全て終わらせてやる」という叫びで復活し、覚醒した第39話(開眼)では「何も残らない無意味な戦いなんか、この俺が終わらせてやる!」という部分に呼応していたということに、ちゃんと繋がってるんだと素直に感心してしまいましたよ。
「ノアを捜して! あれだけ信じていた絶対規律がなくなっちゃって、ノア、今もどこかで苦しんでいるかもしれない。一人で泣いてるかもしれない」
幼子にこんな風に心配されてしまう彼は、一体どれだけ脆く規律に縋っているように見えていたのでしょうか……。しかも、「助けてあげて」ではなく「守ってあげて」ですよ。それはともかく、サギリは本当に健気にノアを慕っていますよね。ゼッドにシャディンを渡したことで、死亡の可能性は回避された?


「私はタスカー様の降臨を願い、このタスクに忠誠を誓う」
タスクではジームが他の幹部にドルガー卿を紹介。エルメイダが連れて来たという彼は、キースピリットの持ち主であるとのこと。
久々に名前だけ出てきたエルメイダは、見えないところで忠実に任務をこなしていたようです。「タスクに忠誠を誓う」とのドルガーの言葉は感情がこもっていないように感じられましたが、彼の目的は一体? ミレッドはギトラと一緒だと分かっているのに意図的に黙ってましたよね。


「タスカーって何なんでしょう?」
ギトラの隠れ家に匿われるミレッド。隠れ家には散りばめられたスピリットやスペルシャードの化石が。
ペルシャードはどういった形で生産されているのだろう、どこかに元が埋まっているのかシャード職人が作っているのかと疑問だったのですが、ああいった化石を元に加工精製しているということで良いのでしょうかね。全てのシャードはタスカーが作り出したという説にギトラは疑問を抱いている様子。ここでそういった疑問を口にさせているということは、シャードの成り立ちについても作中で明かしてくれると思って良いのでしょうか。
ギトラが奏でるパイプオルガンに反応して化石が光る様子を眺めながら、ミレッドが思い出すのはドルガーの姿。城に戻る前に洞窟に連れてほしいと、頬を染めたミレッドに言われてしまうギトラはやっぱり憐れ……。


「大丈夫だよね、ゼッド――」
テンプラーの病院では、ヒーリングを用いて患者に治療を施すロイア。
予告でのあの衣装はなんだろうと思っていたら、看護師さんでした。可愛い。ゼッドのことを心配する姿を単に見せて終わりではなく、ヒーリングを役立ててしっかりとやるべきことをやっているところも合わせて映しているのが良いなと。それにしても、両親の話を聞きに行っただけのはずの彼が、まさか単身タスクに乗り込んでいるとは思いもよらないでしょうね。


隠れ家から逃げ出したものの、タスク兵に発見されてしまったミレッドを助けるゼッド。遅れて駆け付けたギトラと一戦交えそうになるも、ミレッドの制止で回避。
タスク兵は将来タスカー様となるべきお方をあんな乱暴に扱っていて良いのでしょうか。気を失ったミレッドにコートをかけ、自分は寒そうにしているゼッドは紳士だ。久々のパーカー&Tシャツ姿も可愛いなあ。しかし、ギトラもゼッドも戦う前にもう少し状況確認をした方が良いのではないかと思います。


「どいつもこいつもキースピリットのことばかり! そうやってお前達が戦いを止めないから多くの人達が死んでいくんだ! ――全てのキースピリットを手に入れるのは、この俺だ! そして、全ての戦いを止めてみせる!」
ゼッドVSデュケム。このバトルは迫力があって燃えます。ゼッドの意識にアミルがリンクしている描写も良いですね。そしてまた、ゼッドの主張がはっきりしていてそこに向かって真っ直ぐなのがとても小気味良い。アミルにデュケムを直接攻撃させる容赦のないゼッドはそれを受けとめたデュケムを「なんて奴だ」と驚いていましたが、生身でスピリットを倒してしまう君が言うセリフではないかと。


「ゼッド、僕は託してみたいんだ。アミル・ガウルに選ばれた君に、僕の想いを」
本気でキースピリットを集める気だというゼッドの話を聞き、城に案内すると申し出るギトラ。救世主としてずっと囚われの身だったミレッドを自由にするため、ゼッドに託したいと。
ミレッドの心はドルガーのところにあると分かっていながら、それでも彼女のために行動するギトラは健気です。ギトラはOPで観た時に、ゼッドとデザインが似ているので何か繋がりがあるのでは?とも思っていたのですが、どうもそんな様子はなさそうですね。


「このスピリットは……。まさか、お前……」
ギトラの手助けにより城内入り込んだゼッド。目的のジームを見付け突撃しようとしたゼッドを阻むドルガー。
いくらミレッド捜索に人員を割いているからといっても、ちょっと警備が手薄すぎると思います。進入してきたゼッドに不敵な笑みを浮かべていたモーリマは、何を考えているのでしょう。
ジームを発見していきなり切り掛かろうとするゼッドは、本当に一直線です。ゼッドがジームと顔を合わせたのはサラからスピリットを奪っていった時だけのはず。相手を理解するために多少なりとも対話を試みようという気持ちはないのか、お前は。真っ直ぐなのは良いのだけれど、ゼッドのそういう部分は初期から引っ掛かりますね(今更どうこう言ってもしょうがないのですが)。
ゼッドの攻撃を阻んだドルガーが召還したスピリットは何とサチュラ。これはどういうことなんでしょうか。もしや、ドルガーの正体は行方不明だったノア!? ……と、ワザとらしく書いてみたり。ドルガーはゼッドに反応している様子はありませんでしたが、これはもう一連の出来事ですっかり心の糸が切れゼッドのことすらどうでも良くなってしまったのか、お約束の記憶喪失なのか。今の時点では何故ドルガーがタスク側についているのかについては何とも言えませんね。拠り所を失って力の信奉者になってしまったのかもしれないし、別の意図があるのかもしれませんし。


これで現在のキースピリットは、ゼッドがアミル・ガウル&シャディン、ドルガーがサチュラ、ジームがプロニモ&モナディという形になりました。ミレッドのキースピはジームが管理? ゼッドはキースピを集めたら破壊してしまうつもりなんでしょうか。そして、伝説が本当だとしても、何の代償もなく強大なタスカーの力を得ることができるのでしょうか。残り1ヶ月強でどのように展開していくのかますます気になります。


次回予告「迷える救世主」
ここで指す救世主とは、ゼッド? ミレッド? ノア?


最後の提供後の「次回もお楽しみに!」って毎回出てましたっけ。ビデオで観返していた時に気付いたのですが、始めて観たような気がしないでもありません(忘れているだけの可能性も否定はできない)。ってか、めっちゃ短かっ。もしや、各局の切り替えのタイミングによって、流れていたり流れてなかったりする?