濃さと淡白さ

牙は展開が速くて一話あたりの内容が濃いわりには、どこか淡白な印象を受けるのは何故だろう?とずっと不思議に思っていたのですが、その理由はキャラクターの扱いの淡白さからくるものなのかもしれないと最近思い当たりました。
ストーリーとキャラクターどちらに重きを置くかは作品の方向性等によって様々でしょうが、牙の場合はストーリー(と予想外の展開)に置かれる比重が大きいのでしょう。言い方はあまり良くないですけれども、キャラクターはストーリーを展開させるための単なる駒でしかないように見える部分があるんですね。牙のその割り切りの良さがそれはそれで好きだったりするんですが、クールの終わり目だからキャラクターを整理したんだなとあからさまに分かるようなのはどうなのかと思うようなことも時折あります。それでも、退場したキャラクターの役割を自分の中でそれなりに納得できる分には問題ないんですけどね。残念ながら、どう解釈すれば良いのか分からずまだ消化しきれてないキャラクターもいますが。まあ、キャラクターに偏りすぎてストーリーが破綻してしまう場合もあるでしょうし、結局のところその作品に合うバランス配分が出来るかどうかなんでしょうね。


ゼッドはさすがに主人公だけあって、それなりに丁寧描かれているとは思います。最終目的が定まるまで40話以上(実に全体の5分の4以上)を費やしていましたけれども、その間に起こった様々な出来事を通して経験を積んで悩んで考えて、成長したんだなというのがとても実感できて良いんですよ。1話からリアルタイムで追っているとより感慨深いのだろうなあと思います(私は途中参加なので)。ただ、主人公の目的というのは作品の方向性にも繋がる部分でもあるし、目的が定まるまでは事件に巻き込まれ状況に流されているだけだったとも言えるので、人によってはもどかしさや苛立ちを感じることもあったのかもしれません。
目的が「世界を救う」ではなく「戦いを終わらせる」というのも、単純明快ではっきりしていて彼らしいなあと思います。ホント格好良くなったよ、ゼッド。