牙-KIBA- 第39話「開眼」

「何も残らない無意味な戦いなんか、この俺が終わらせてやる。―― 俺が終わらせるんだ!」


「俺は、お前だけは許せねえ!」 ヒューを貫くゼッドの剣。倒れたヒューの体が発光し、ジーモット兵の姿に。
いきなり攻撃するゼッドにも驚きましたが、あんな擬態まで可能なド○えもんの秘密道具並みのシャードにも驚きです。まあ、話を面白くするためなのは分かるんですけど。
捕縛されたゼッドはまたヒューに顔をぐりぐりと踏みつけられてました。イブの朝からきんばくえすえむぷれい。体じゃなくてわざわざ顔を踏ませるあたり、スタッフも素敵な趣味をしてらゃっしゃる。


「人質を殺し続ける限り、貴様は殺さない。当分の間は生きられるぞ。何しろ人質はまだ沢山いるからなあ」 ハイラムに自ら人質を殺すよう命じるヒューは、相変わらず鬼畜さ絶好調。非常に楽しそうです。
「絶対規律に従って私達を処分してください」と頭を垂れる民を前に逡巡の後、振り上げた剣を自らに突き刺すハイラム。ここで民を切ったら本当に統治者として地に落ちたなと思ったんですが(もうすでに落ちてるとも言えますが)、彼にも最後の矜持はあったようでほんの少し見直しました。
ハイラムの言葉にヒューがキレかけたところで、ベラドンナ登場。テンプラーからの援軍です。現れたロベスに対して、ゼッドは珍しく嬉しそう。溺れるものは藁をも掴むというやつですかね(ヒドイ)。テンプラーからの援軍なんてたいして役に立たないかと思いきや、意外に健闘しているようです。
ロイアがヒーリングシャードで治療を試みるも、もう命は尽きると「絶対正義の行く末を見届けてくれ」とジーコに最後の望みを託すハイラム。しかし、今まで救世主救世主とノアを便利道具扱いしていたのに、最後に「気がかりなのは……ノア、あの子のこと……」とか言い遺すのはどうなんでしょうか。自分が出来ないこと(人質を殺す)をノアに押し付けまでしていたというのに。
ハイラムの最期を見て、痛ましそうな表情を浮かべていたゼッド。敵の前に引きずり出しはしたけれど、それは犠牲になった者達のためにも責任を持って戦えという気持ちからであって、だから死んでも構わないと思っていたわけはないようですね。


二人で新しい絶対規律の国を創ろうと誘うダイアナに導かれるまま、ストゥーバの地下を進む茫然自失のノア。そこには倒れる兵士とキースピリット・モナディのシャードを持ったサラの姿が。
なんとママンがキースピリットをゲット。ついでにサギリ(いや、キースピがついでか)もゲット。あれだとサギリを保護というより、まるで拉致しているようにしか見えません。


ベラドンナVSプロニモ、ロベスVSヒュー。「俺に牙を剥いた者は、牙をもって報われるのだ!」
まともに格好良いロベスを見るのは何話振りでしょうか。口先だけではなくちゃんと実力はあるのだということが証明されました。それでも、相変わらずあまりやる気がなさそうなところが素敵です。ベラドンナは出てきた瞬間、ああ冬虫夏草……(DVD5巻ブックレット参照のこと)と思ってしまいました。


「俺はヒュー、お前だけは絶対許せねえんだ」 緑のオーラを纏うゼッドと再生しゆく左腕。ゼッドの放ったシャードから鳥形態のアミル・ガウルが召還され、更にシャードが展開して装甲を纏った人型へと変形。
おお、アミル開眼! サブタイトルの「開眼」が、文字通りアミルの目が開くことを指しているのだとは全然思ってませんでした。きっと鳥から人に戻った形でパワーアップするんだろうなあぐらいにしか。何故そんなあからさまなことに気が付かないんだ私。しかし、あの覚醒後の姿は聖○士星○を思い起こさせるのですが……。
プロニモを見て、女性キャラクターの胸は揺れなくてもスピリットの胸は揺れるんだなあとかくだらないことを思ったり。牙は色気をアピールする女性キャラって見事なまでにいないですよね。意図的に排除しているのか、ストーリ上必要がないから配置していないだけのことなのかは分かりませんが。私はアピールせずともさり気なく醸し出される色気の方が好みです。
「何も残らない無意味な戦いなんか、この俺が終わらせてやる! ―― 俺が終わらせるんだ!」 ゼッドの叫びに呼応して突風を起こすアミル・ガウル、ヒューの体を貫くゼッドの剣。
単に「終わらせる」ではなく「“俺が”終わらせる」というところにシビれます。ゼッドVSヒューの戦闘シーンはスピード感が感じられて格好良かったです。あの女性コーラスのBGMがかかるのがまた良くって。もうちょっと長めに観たかったですね。


「結局、僕は誰一人救えなかった。ハイラム様も、ダイアナ様も、人質になった人達も、サギリも……」 サギリの声にノアは自我を取り戻すも、崩れる床に呑み込まれるダイアナ、サギリとサラ。その暗く陰を落とす地面を見下ろし失意のノア。
ああ、ノアが独りになってしまいました……。しかも、あの危うい精神状態で。拠り所にしていた絶対規律が崩れ、彼は今後何に縋るのでしょうか。
ダイアナは今回で退場なんですか!? あの様子だと事切れてますよね……、目が開きっぱなしですし。てっきりまだいくらかはノアを引っ張りまわすものだと思っていたので、これは意外でした。


ヒューを倒し気を失うゼッド、絶命したヒューの口から転がり落ちたプロニモを拾うサラ。
ゼッドは久々の気絶。ノーマルの状態ならば気を失うことなく使えるようになりましたが、覚醒すると格段に負担が大きくなるようです。となると、今後アミル召還時は最初はノーマル、必要に応じて覚醒という形でしょうか。
「あれが本当のアミル・ガウルの力――」
お母様、アミルのことしか触れていませんが、そこに倒れている息子はまるっきり無視ですか。ロイアが来なければ、気絶したゼッドからアミルを奪っていきそうな勢いでした。ノアに「ゼッドのお母さん」と言われた時も全く動揺してませんでしたが、あそこまで反応がないと、もしや自分の息子の名がゼッドだということすら知らないのか……?と思ってしまいます。これは間違っても感動の母子の再会シーンは望めなさそうですね。まあ、最初から一筋縄ではいかないだろうとは思ってはいましたが。DVDで1話を初めて観た時から、サラの「貴方を愛し――憎む」というモノローグがとても強烈な印象だったので、今後この親子関係がどう描かれるのかも楽しみです。
サラはモナディだけでなくプロニモまでゲット(漁夫の利?)していましたが、これは個人の意志ではなくシーカーズの総意ということなんでしょうか。


3クールラストということで、ここ最近の怒涛の展開の勢いそのまま突き抜けた回でした。いやあ、4クールに向けてキャラクターをすっぱり整理しましたね(整理という言い方もあれですが)。こういう部分はホント容赦ない。ただ、これだけ色々盛り込んだ内容ならば、これぐらい潔くやらないと最終的にまとめきれないだろうとは思います。しっかり描ききっての退場とは言い難い部分もあるので、キャラクターに思い入れがある側からすれば割り切れない気持ちも残ってしまうでしょうが。
ヒューに関しては、どうも本編の流れからするとラスボスという感じではないし、タスク幹部やサラが後ろに控えている状況を考えれば4クールまでずれ込んでは後が詰まるだろうと思っていたので、今回で決着が付いたのは、ああちゃんと終わらせるつもりで構成考えているのだなと。ヒューは日曜朝にあるまじき素敵な鬼畜っぷりで、とても悪役らしい悪役だったと思います。拍手。
意外に生き残ったのが、エルメイダとキーラ。ヒューの亡骸にエルメイダの眼帯がかけられている演出は細かくて良かったですね。ヒュー亡き後、エルメイダは今後どう動くんでしょう。キーラは復興のためにネオトピアに残るかな? ハイラムもダイアナもいないから、彼女達ネオナイツが一応実質的なトップとなるわけですよね。しかし、復興といってもどれだけ民が残っているのか……。
意外といえば、人質問題で揺れるノアをこの段階で更に突き落とす展開になるとは思いませんでした。しかも、ゼッドとノアもあのまま別れ別れに。別れるとしても戦争が終わって一度顔合わせてからだとばかり。前回の感想でゼッドがいるなら大丈夫だろう的なことを書いた気がしますが、そんな機会は一秒たりとも与えてもらえず。そうですよね、牙だしそんなに甘くはないか……。


次回予告「狙われた力」
狙われるのはアミル? タスク幹部のジームはお冠の様子。彼はネオトピアに来ているようですが、何の用があるんでしょうね。エルメイダは眼帯なし?(何枚も同じの持ってたりして) ゼッド達はテンプラーに戻るようなので、ミッキーの出番もあるかな? 今度は支店まで出していたりして(笑)。


3期EDもこれで見納め。映像とあいまってとてもお気に入りでした。次はどんな感じになるんでしょうね。またさり気なく(ポイント)ゼッドとノアのツーショットがあると嬉しいなあ。
OPもゼッドVSヒューのところが、ゼッドVSノアもしくはVSママンに差し替わったりして。……そんな制作の余裕はあるのかな。