牙-KIBA- 第38話「終わりなき戦い」

「絶対正義の名の元に、僕の手で、あの人達を……、死なせてあげるんだっ! 正しいんだよな!? それが、絶対規律なんだよね!? それが、僕の使命なんだよね!? 言ってくれ、ゼッド! それが正しいんだって! ゼッドっ、ゼッドっっ」

「ハイラム! 俺と一緒に来てもらおう。――お前のせいで大勢の者が命を落とし、大勢の者が悩み苦しんでるんだ。俺と一緒にヒューと戦え!」


ネオトピアの城に乗り込みハイラムの座を奪わんとするヒューの前に、立ちはだかるジーコのスピリット・ファイロン。城が崩れるのに乗じて地下通路へと逃げ込んだハイラム一行は、ゼッド・ノア達とも合流しストゥーバへ避難することに。
牢に入れられていたジーコは上手くセバスチャンを丸めこんだらしく、単身ネオトピアへと乗り込んできました。ファイロンの出番って2話以来ですよね。ジーコが本格的に動き出したことで、過去の出来事もそろそろ明かされる? ジーコとハイラムというのも、ゼッドとノアの関係を暗示させる部分があるのかなあと思っているのですが、どうなんでしょう。
ノアが合流する前にダイアナと通信してましたが、その機能があるなら先日敵が攻めてきたことを知らせるのにわざわざ馬を走らせる必要なかったのではと思ったり。ダイアナ側からしか発信できないのかもしれませんが。


地上に出た時に、ヘリックと同じ痣がキーラにもあることを目に留めるゼッド。ヘリックが命を落とし、誰も二人の関係を知らないまま終わってしまうのかと思いきや、ゼッドが気が付きました。そのために、あの時わざわざゼッドに痣を見せていたのか。ゼッドがそれを彼女に伝えるのか否かは分かりませんが、ここで気付かせたのは戦争や絶対規律の理不尽さ空しさを、よりゼッドに意識させるためなのかなと。


ストゥーバに到着し、一旦テンプラーに避難すべきだと言うジーコの提案を断り、ストゥーバの下に眠るキースピリットの力をを手に入れれば、救世主であるノアが救ってくれるとハイラム。
やっぱり地下で探していたのはキースピでした。生き残りの兵は全て地下に収容って、一般人は救助してないんですか……。
ハイラムの言葉に「ハイラム様を守って、サギリを守って、この国の全ての人々を守って、僕一人で全てを守るなんて、そんなの無理だ」と、救世主として求められるものの大きさに重圧を感じるノア。それを励ますキーラは結構良い人じゃないですか。キーラは当初かなりキツ目の印象でしたが、彼女もノアと出会ったことによって少し変わったんでしょうかね。死なないと良いのですけれど。


異変の起きたゼッドの腕を心配する二人に「アミルガウルは眠りについておるのじゃ。目覚めるまで待つしかない」とジーコジーコは地下通路でゼッドのあの腕を見た時もあまり驚いている風ではなかったし、一体どこまで知っているのでしょう。ロイアがゼッドの手を軽く握っている構図がちょっと良いかも。
疲労で倒れてしまったジーコの治療のために、ヒーリングシャードを使わせてほしいとハイラムに懇願するロイア。あの状況だったら、何も考えずに性急に治療してしまいそうなのに、ちゃんと許可取っていることに感心。


ジーモット軍はストゥーバを包囲し、ハイラムの首を差し出せば捕えた民間人は解放すると通告するヒュー。
あああ、久々にかなりエグイシーンが……。腕を口の外に残すのはやめてええ。思わず目を背けてしまいましたよ。あんなんに喰われるなら普通に兵に斬り殺される方がだいぶマシだ……。
ヒューの言葉を受けて協議した結果、人質は絶対規律に殉じて死なせてやることの方が幸せだという結論に。彼らは規律を破ったわけではないというノアの反論も「人質として敵に捕まった、それ自体が絶対規律を破っているんじゃないか。俺ならその場で自決を選ぶね」と冷たくあしらわれてしまいました。うわあ……。軍人ならそういった心意気も立派なのかもしれませんが、一般人にも同じものを求めるなんておかしいですよ。何か遠い昔に授業で似たような思想の時代のことを習ったような気もしますが……(苦笑)。
ハイラムには、某作品の王のように俺の首一つでどれだけの民の命があがなえるかやってみようと言えるような、大きな器を求めるのは無理なのだろうなあ。某王は「守る民がいなくて何が王だ」とも言っていたぞ(セリフうろ覚え。………新刊はもう望めないのかなとこんなところでぼそり)。


人質はどうするのかと気を揉むゼッド達の元へ現れるノア。「僕は――救世主なんだ。この国を、全ての人々を救わなくちゃならない」「絶対正義の名の元に、僕の手で、あの人達を……、死なせてあげるんだっ」
結局、ノアに人質の処分を押し付けたのか……。捕まったこと自体が規律違反だとか言っていたヒゲが責任持ってやれよと思うのですが。
「正しいんだよな!? それが、絶対規律なんだよね!? それが、僕の使命なんだよね!? 言ってくれ、ゼッド! それが正しいんだって!」
今までは規律違反者だからと、異世界に来て初めて親しくなったキースでさえ躊躇いなく切り捨てたノア。しかし、罪のない人々の命まで自らの手で奪わねばならなくなったことで、大きな揺らぎが出てきました。そう、私はこういう彼の姿を見たかった! 病院でのレジスタンス襲撃事件から、違反者を冷酷に処罰するようになるまでの間に葛藤がなかったわけはないだろうに、それが描かれないのがずっと不満で仕方なかったんですよ。ゼッドの前でそれがさらけ出されたというのがまた嬉しい。このシーンのノアの声の震え具合とかも良い演技ですよね。
しかし、ノアは今後どうなってしまうのか。更に振り切れてしまうんでしょうか。ゼッドがいるなら大丈夫かなとも思うんですが、なし崩しにこのまま一緒に行動することになるのはつまらないので、二人の間にはもう一山あってほしいですね。


「言っただろ。絶対規律は間違ってるんだって」 力なく崩れ落ちたノアにそう言い残して、ゼッドはハイラムの元へ。
懊悩するノアにゼッドは駆け寄るでも心配する言葉をかけるでもありませんでしたが、冷淡に突き放しているわけではなく、絶対規律の正しさを問われたことに対する答えを行動で示そうとしているんじゃないかなと。安易に同情的な態度を取ることはノアの望むところではないだろうし、これがゼッドのノアに対する誠意(なんかもっと違う言葉を使いたいんだけれど適切なのが上手く思い付きません)なのだろうと思います。
「お前のせいで大勢の者が命を落とし、大勢の者が悩み苦しんでるんだ。俺と一緒にヒューと戦え!」と、ハイラムに剣を向けるゼッド。一体どうするつもりなのかと思いきや、一緒に戦えと来ましたか。ゼッドのそういうストレートなところ大好きです。決してハイラム一人を差し出して終わりにしようとしてるわけじゃなく、自分もちゃんと戦う決意でいますし。
ゼッドに便乗して、「国を守れなかった貴方に、もはや王の資格はありません。真の絶対正義は私が救世主であるノアと共に守ります」と、ついにダイアナもハイラムに反旗を翻しました。ダイアナが今後どのような行動をとるのかも気にかかります。しばらくはまだノアに絡んで影響を与えそうな感じですね。そういえば、いつぞやのウルバークス襲撃事件の時にヘリックが「ダイアナ」と名を呼んでいたので知り合い?と思ったんですが、結局なんでもなかったんですかね。


クラゲ要塞が本編に初登場。
「サギリ様」と呼ばれているということは、サギリは高い身分なんですね。ゼッドママンもOP映像で示唆されていた通りシーカーズの民でした。ゼッドとママンの再会はやはりサギリがキーになりそうな感じですね。OPといえば、ハイラムとサギリのカットが何を表しているのかもそろそろ出てくるんでしょうか。


「お前の言うとおり、ハイラムを連れてきたぜ」 文字通りハイラムの首根っこを掴まえて、待ち構えるジーモット軍の前まで引きずり出してきたゼッド。
すげえよゼッド、お前大物だわと拍手したくなりましたよ。面白い子だ。出ていった瞬間殺される可能性だってあるし、人質を取られている以上うかつな行動もできず、しかも自分はスピリットを召還できないという状態であるにも関わらず、臆することなく敵の前面に出ていけるその度胸には素直に感嘆します。しかし、ヒューがそう簡単に人質を解放すかどうかは怪しいところですが。


次回予告「開眼」
ゼッドの緊縛ぷれい! ノアは気を失っただけ……ですよね? 本当に退場するなら、わざわざ予告で映すようなことはしないでしょうし。しかし、もし今後息を引き取ることになるならば、その時は是非ともゼッドの腕の中で!
予告に出ていたアミルはまだ鳥姿でしたが、一体どんな風に復活を遂げるんでしょうね。公式の製作日誌によると、次で戦争編(メルマガで言っていた○○編の答えはこれか?)クライマックスということで、ますます展開が楽しみです。最近はいつも以上に内容濃くてホント面白い。
ああでも、明日は途中までしかリアルタイム観られない……がーん。中途半端に観てしまうと出掛けている間中気になって上の空になってしまいそうなので、朝は我慢して帰ってきてからゆっくり堪能すべきか。