魔神英雄伝ワタル創世伝記(めいきんぐふぁんぶっく) その2

広井王子(企画協力)×朝比奈祥和(設定協力)

広井さんと当時タカラに在籍していた朝比奈さんの対談。広井さんのワタル話はここ数年で読んだり聴いたりする機会がありましたが、朝比奈さんは初めてかもしれません。対談の中身はプラクションの話題が多いので、当時プラクションをコレクションされていた方だとより楽しめるのではないでしょうか。

広井:子供たちが握りしめる100円がどれほど温かいかは、お菓子のオマケをやっていたので知っていましたからね。そして、その100円に対し僕たちはどれほどの責任があるのかも。
朝比奈:『ワタル』のキャラクターや世界観って、そんな駄菓子屋感覚とは相性が良かったんですよ。(中略)説明書の裏やカード等を使って情報量を濃くし、価格以上のプレイバリューを提供しようと考えた訳です。

ラクションがワンコインというのは何となく知ってましたが、380円とか480円とかそんなに安かったとは。貴重なお小遣いをはたいて買った玩具にプラスアルファで色々情報がつまっているのだから、そりゃあワクワクしてコレクションしちゃいますよね。当時、自分はそのワクワク感を体験できなかったのが、今となっては残念ではあります(着せ替え人形とぬいぐるみが好きな女児だったからしゃーない)。
最初の企画書やまだワタルがタケルで龍神丸竜神丸だった頃のパッケージ見本、プラクションに封入されていた神部新聞の試作ラフ、アイテム初期設定のラフも掲載されています。こういうのもちゃんと残っているなんてスゴイなあ。企画書は、タイムマシンを研究する〜とあります。ちょっとSFが入ってる? アイテム初期設定のへん玉入れる巾着袋の形はいかがなものか(笑)。へん玉デザイン案を見て、スピリットシャード……と思う牙ファンでした。

井上幸一(企画)×塚田延式(企画)×中沢数宣(メカデザイン)

サンライズの井上さん・塚田さんと中沢さんの座談会。塚田さんってサンラヂ*1のザク塚田さんでしたか。芦田さんのワタル色紙もサンラヂの抽選でいただいたんだよなあ。

龍神丸のデザイン上のポイントをお教えください。
中沢:頭身を低くと言われましたが、それでもなるべく高く見せる工夫をしています。(中略)正面から見ると5・6頭身あるように見えますが、斜めから見ると3頭身みたいな不思議なデザインになっています。

魔神のデザインも色々と工夫が凝らされているのだなあと感心。もし魔神の頭身が高かったとしたら、それだけで結構作品の雰囲気かわっちゃってたでしょうね。龍神丸コクピットも中沢さんのデザインだそうです。
魔神の初期デザインと決定稿の比較も掲載されています。初期デザインを見ると、確かに色々な方が描かれているのだと分かります。

―この作品が現在も大きな支持を得ている理由はなぜだと思われますか?
塚田:「いかにもオモチャを売るための作品」にはならず、まず魅力的なキャラやメカありきという作風が支持されたんだと思います。これはかなり難しいことなんですよ。
井上:娯楽だったということが一番の理由でしょうね。(中略)『ワタル』は設定を知らなくても見ればわかるし、誰もが楽しめるように作ってあるんです。

単純に楽しめることって大切ですよね。あれこれ考えながら観る作品もそれはそれで楽しいのですが、ワタルシリーズに関しては基本あまり考えず素直に楽しんでいます。

続く。

そういえば、もう閉鎖してしまったサンライズステーションに掲載されていた広井さんと井上さんの対談、せっかく公式サイトが出来たのだし再掲してくれたら良いのにね。

*1:サンライズラヂオサンライズ情報のラジオ番組。私が聴いていたのは最初の数年間だけですが。