3クール目を振り返る

明日には年内最初の牙、また最終4クール目の始まりの回でもあるということで、その前に3クールを振り返りつつラストへ向っての雑感です。無駄に長くなってしまいました。羅列にしたほうが良かったかな……。


3クール目は主な舞台としてはネオトピア、前半27〜31話がジャウスト編、後半32〜39話が戦争編に分かれる感じでしょうか(区切りは適当)。

ジャウスト編

まずはジャウスト編。各領域の代表同士での大会が開催されるということで、スピリットの出番を増やしてカード販促のテコ入れか?と思ったのですが、試合自体は一回あたり半パートもかからないぐらいの短時間でサクサク消化され、単なるストーリー展開上の舞台装置でした。いやあ、アッパーデック社は広い心をお持ちですね。おかげでとても楽しい作品が観られて感謝してます。でも、純粋な競技としてシャードバトルの面白さを見てみたいという期待もあったので、それに関してはちょっと残念。
ジャウストは基本的に「死」のない強さの競い合いで、そのジャウストを通して描かれるロイアの成長、ゼッドとノアの亀裂。過去を知ったショックから立ち直り強くなることより人を救うことを選んだロイア、規律によって初めて得た強さでゼッドに挑んだノア、強くなるだけでは駄目だと未だ模索中のゼッド、とそれぞれの「強さ」「力」に対する違いが出ていますね。
カームから異世界に飛ばされ、別々の場所でそれぞれ様々な出来事を経てやっと20話再会したゼッドとノアの関係が今クールで動き出しました。28話のロイア逮捕を発端として溝が生じたまま、30話のジャウストでの対決へ。最終クールで戦場にて剣を交えることになるだろう展開の前に、ジャウストを利用して前哨戦を組み入れたのは上手いなと。ただ、彼らの描写で残念に思うのは、一つは確執が生じる流れにどうも唐突感が否めないのでもう少し段階を踏んだ方が良かったのではという点。もう一つはストーリーも折り返しになってようやく再会するのであれば、その分1〜2クールでカーム時代の回想を多く入れて今までの状況を見せておいた方が、二人の関係により深みが出たのではないかという点でしょうか。
各領域を集合させることによって、その後の展開へ向けて必要なキャラクターを自己紹介代わりに出しておける、それぞれのキャラクターの接点をスムーズに作っておけるというメリットもありますよね。前者はヘリックだったり、後者はテンプラー組とサギリ、ゼッドとギンガだったり。
そして、忘れちゃならないのが戦争編へと繋がっていく31話でのヒューの変貌。まんまと手に入れたアミル・ガウルに拒否され、今までは冷静沈着だった彼が感情を剥き出しにするようになってしまいました。ヒューの変貌はどこまでがアミルの影響でどこからが本性なんでしょう。見た目のみアミルの影響なのかしら。

戦争編

ジャウスト終了から戦争開始までの繋ぎとなる32・33話では、1話でちょっとしたインパクトを与えて去っていったサラやタスク側ではジーム以外の幹部も姿を見せ、これでクライマックスに向けてほぼメインの役者は揃った感じでしょうか。
キースピリットを全て掌握するという野望を破かれたヒューは、手に入れられないのなら全てを破壊すると手始めにネオトピアへ侵攻、また領域の成り立ちからしてネオトピアとの因縁があるウルバークスも動き出し、ついに本格的な戦争へと突入。ジャウスト編は人死にがなくていいなとちょっと安心していたら、その分こちらでどーんとやって下さいました。
戦争の中で描かれるゼッドの成長とアミル・ガウルの覚醒。ゼッドは初めて本格的な戦争の中に身を置き犠牲となった人々を目の当たりにしたことで、18話のレベッカの死からずっと燻っていた気持ちが一つの形になったと言えるのかもしれません。彼の強さだけでは駄目だという気持ちは、大切なものを皆を守りたいというところからきているんですよね。その代表的な存在としての役割もロイアにはあるのかなとも思います。そして、やはり主役機(機体じゃないけど)のパワーアップイベントは、ストーリーの盛り上がり的にも販促的にも外せない要素です。33話からの一連のアミルの動きは、ゼッドの心理状態に密接にリンクしていると素直に考えて良いんですよね? 
逆にノアはこの戦争によって拠り所としていた絶対規律が崩れ、絶望をかかえたまま39話で姿を消してしまいました。一体彼はどこに行ってしまったのでしょう。ずっと単独行動ということはないと思われるのできっと何処かの勢力に拾われるのでしょうが、それがタスクになるのかシーカーズになるのか。ゼッドとの対比を考えれば、ノアは貪欲に力を求めることに埋没するのでしょうか。
単なるジャウストの頭数要員かと思われたヘリックが意外に引っ掻き回してくれました。ヘリックとキーラの関係はここだけ見ると戦争の無情さみたいなものを表現したかったのかなとも思うのですが、血縁関係という部分に着目すると1クールではカーターとゲイルの父子、2クールではケンプとグスマの兄弟、そして3クールでは兄妹の彼らの対立的な形が描かれているんですよね。そう考えると、今後本格的に描写されるだろうゼッドとサラの関係、もしくはサラ以外にもゼッドの血縁者が登場してくる可能性を示唆しているのかな?とも思ったり。
元々ストーリーが進むのが早い方だとは思いますが、戦争編は特に密度が濃くてとても燃える展開でした。

4クールに向けて

まずは、ゼッドとノア・サラ・アミルそれぞれの関係がどのようになっていくのかが気になります。
ゼッドとノア、二人が再び顔を合わせることになるのは戦いの場なのか。ジャウストでは躊躇いを捨てきれなかったゼッドですが、今度戦わなければならなくなった時には果たしてどうするのでしょうか。私としては、ゼッドにはノアも救って皆も守る!ぐらいの気概を持ってほしいですね。でも、ノアはゼッドに救われるというよりも、きっかけはゼッドであってもいいんですけどちゃんと自分自身の力で立ち上がってほしいなと。ラストは二人が一緒にいてくれると嬉しいのですが、それぞれが何かを見付けて別々の道を歩むことになるのもありなのかなとも思います。
キースピリットの中でも特別な存在であるらしいアミル・ガウルがゼッドを選んだ理由。アミルはゼッドとサラを繋ぐポイントでもありますよね。サラはシーカーズ所属であることが明らかになりましたが、彼女は個人的にも何らかの目的を持っていそうな感じがします。やはりサラともゼッドは戦わなければならないのでしょうか。ゼッドの葛藤や苦悩や成長といった心理描写の点からいえば、対立する存在が単なる悪ではなく親友や母親というもっとも近しい存在であるということは、非常に効果的なものだと思います。それはゼッドにとっても辛いものになるでしょうが、彼ならばしっかり乗り越えられると信じています。
そして、各領域の動向。
テンプラーはこのまま事なかれ主義で行くのか、過去に何かがあったらしいジーコはどう動くのか。ウルバークスはギンガの存在が気にかかります。実はシーカーズ出身だったりするんでしょうか。もしかすると、あの浅黒い肌もゼッドと何か関係が……(それはどうかな)。シーカーズといえば、序盤は単なるマスコットなのかと思っていたサギリが実は結構重要な立場にあると判明したのは驚きましたね。
作品タイトルでもあるタスクは、OPを見るにラストバトルの舞台となってくるんでしょうか。幹部4人衆のうちまだ本編では出てきていない彼は何か秘密がありそうです。タスカーが誰なのかという疑問は自分の中ではあまり意識することがないんですが、すでに登場している人物の誰かなんだろうとは思うのですが。


いよいよ最終クール、これだけ急ピッチでストーリーが進んでいるにも関わらず謎が盛り沢山で本当に終われるのだろうかという不安もあり、どういう風に終わるのかも未だに読めませんが、今までのエピソードがどのように絡んで収束していくのだろうかと考えると非常にワクワクします。残り3ヶ月、めいっぱい楽しませてもらおうと思います。