舞台版『キサラギ』

2010.9.28(火) 開演14:00 日比谷シアタークリエ
昨春の市内公演を見逃してしまい、今回再演されるということで日帰りで東京へ行ってまいりました。東京はあいにくの雨模様でしたが、開場待ちで並んだ頃には小ぶりになって傘はささずに済んだので助かりました。列整備等をされていた男性スタッフの方々が皆さんスーツだったのは、「喪服を着れば盛り上がれるんです!」ということなんでしょうか(笑)。
ああ分かっちゃいたけれど、やはりこの舞台はまっさらな状態で楽しみたかった……! 全くの初見であればさぞかし興奮したであろうと思うと非常に悔しい気分です。オフ会5人のメンバーの正体が徐々に判明し、そして明らかになるミキちゃんの死の真相という2段構えのあのジワジワゾクゾクとくる驚きをもう一度味わえたらどんなに素晴らしいことか。しかし、年齢を重ね記憶が薄れるのが早くなったとはいえ、ここ3年で劇場2回・TVオンエア1回・ネット配信1回鑑賞、ノベライズ・シナリオ本数回読み返しているという状況では、さすがに内容を忘れようもないわけですよ。『キサラギ』『火車』『タイムリープ』は、叶うならば記憶を消してもう一度楽しみたい作品TOP3(順不同)です。あと『十二国記』の1作目も。
展開を知っている分、会話の話題に上っている人物がまだ身バレしていない時点でどういう反応をしているのか?というのを意識して観られた点は良かったです。初見では当たり前ながら、あの人が○○でこの人は□□だなんてことは知りませんから、改めて観ることで気付くことも多いんですよね。2度観ることでより面白さが増す作品だと思います。
キャストは、自分の中で映画版のイメージが刷り込まれてしまっているのでどうかな?と思ったんですが、それ程違和感はなかったです。家元は舞台版の役者が歌手であることを生かしての肉付けなのか、ファンレターだけでなく自作の歌も送っていたという設定が追加されていて、家元のファンとしての熱心さがより感じられました。安男は体格からして映画版と正反対の配役なのでちょっと心配でしたが、田舎の青年の純朴さ出ていたと思います。オダ・ユージは名前からすると映画版配役がベストなんですが、まあそこを比べてしまうのは酷ですよね。
クライマックスのおっさん(若者もいるけど)5人のダンスは、楽しくてほんわかします。シナリオ本の後書きで、原作者兼脚本家さんがシナリオになかった5人のダンスシーンが一番面白いという感想を聞くと自分の苦労はなんだったのか思うと冗談っぽく書かれていましたが、紆余曲折しつつ険悪な雰囲気を乗り越えて5人の心が一つとなったドラマがあったからこそ、あの最後のダンスシーンが映えるのだと思います。5人のダンスに観客皆で手拍子をする一体感は舞台ならではの醍醐味ですよね。間奏部分でミキちゃんにスポットライトを当てる演出も良かったです。残念だったのは舞台版ミキちゃんは音痴ではなかったこと。映画版は素晴らしい(笑)歌唱力で、それによって観客もミキちゃんへの愛おしさがぐぐっと湧いてきたと思うんですよね。でも、このダンスシーンは映画版も舞台版も大好きで、何度観てもホントに良いです。好きなもの夢中になれるものがあるって素敵なことです。

ところで、調べていたら声優ver.のドラマCDも出ていることを知りました。まさかそこまで展開しているとは! キャストの方々も有名どころを揃えてますねえ。こちらも近いうちに入手して聴いてみようと思います。