牙オフィシャルファンブック 感想その4

監督・神志那弘志インタビュー

「天才型少年」というのを描きたかったんです。(中略)一貫して自分の信条を曲げない、不動の心を持っているヒーロー像を描きたかった。

放送開始前のNTのインタビューの中でも「天才型」「孤高のヒーロー」という単語は出ていたんですよね。それを読んだのは2クール目の頃だったんですが、いまいちしっくり来なかったので、初期はそういうイメージだったけどきっと途中で変更されたんだろうなとばかり思っていました。インタビューを終えての編集さんのコメントが私の感じていた部分をまるで代弁してくれているようで、ちょっと笑ってしまいました。そういえば、ライブのサイトのインタビューの「牙2 ゼッドのヒーロー伝説」という回答には、何で唐突にヒーロー?と思いましたが、監督としては突飛なことではなかったわけですね。
今改めて考えてみると、監督のおっしゃる「天才」が、ゼッドの精神的な強さを指しているのなら、納得できるところもあるんです。ゼッドのあれだけの強さはどうやって培われたんだろう?とずっと不思議だったんですよ。シャード世界での経験によって成長した部分はもちろんあるだろうけれどそれだけではあの強さの理由として弱い気がするし、カーム時代も家庭環境には恵まれていなくても生きるか死ぬかの瀬戸際にまで追い込まれるようなこともなかったろうし。なので、生まれ持ったものだとするならば、なるほどなと。ゼッドがまだ胎児の時点でアミルに選ばれたことも何ら不思議はないわけですね。

(全ての構成を決めずに始めても)自分の中の軸がブレなければ面白いものになると思ったし、作っている自分自身もスリルを味わいたかったんです。

全て終わってみると勢いで押しているだけじゃなく意外に構成もしっかりしていたように感じたので、先の構成は決めていないと開始時にコメントしつつも実は決めてたんじゃね?とちょっと思ってたりもしたんですが、言葉通りでしたか。他のストーリー物オリジナルってどうなんだろ?

構成の井上さんが、第1話で自分の内側の壁を打ち壊す主人公という設定を持ってきたので、(カームは)周囲を壁で囲まれた風の吹かない街にしよう、と。

ほー、ゼッドのキャラ設定を元にカームやテンプラーが出来ていったのかあ。カームはデザイン的に好きだったんで、回想シーンででももっと出てくると良かったのにな。
ウルバークスについては、なんであんな古臭いデザインにしているんだろうと思ったら、ちょっとズルイ意図が隠されていたわけですね(笑)。

――1年という長い作品だったにも関わらず、総集編が1本しかありませんでしたね。
僕は基本的に、総集編は好きではないんです。毎週放送を待ってくれている人のためにね(笑)。

確かに総集編だと、早くその先を見たいのになとガッカリしてしまいます。BANKシーンは様式美的なものもあるから必ずしも嫌ではないんですが。


その5に続く。